坂の上のわが家

 

「うちの坂はすごかとよ」

わが家をたずねてくる人に、そう話します

その期待()を、裏切ることはありません。

わが家は、本当に急な坂の上にあります。

毎日坂を登って自宅に帰りますが、何年経っても慣れません。

そんな坂での出来事です。

 

小学生の男の子から「荷物が重そうですね。持ちましょうか?」と声をかけられました。

その男の子の背中にはランドセル、手にはシューズと給食袋。

私が荷物をやっと持ち、足取りも重く歩いているように見えたのでしょう。

実際、心配ごとや悩みを抱えた頃でもありました。

その男の子の天使みたいな笑顔に出会って、心がずいぶん軽くなったのをよく覚えています。

 

またあるご婦人は腰痛のためのマッサージを終えて、坂を登る途中でした。

「坂を登るうちにまた元にもどっちゃった」と、坂が日常にある苦労を笑って話していらっしゃいました。

 

このわが家に続く急な坂は、エピソードに事欠きません。

毎日の通勤には難儀しますが、記憶に残るシーンがたくさん生まれた坂でもあります。


 

 

最近、この坂を上るコツを見つけました。

坂のてっぺんを見ながら登っていた頃は目標地点が遠くに見え、ため息ばかりついていました。

そこでただ足元だけをみながら一歩一歩進んでみると、「アラ、もう着いた」という感覚になることを発見しました。

坂がなだらかになったら足を止め、増改築の家やよそのお宅のきれいな庭を眺めます。

最近では私なりの「坂道のテーマソング」を口ずさむこともあります。

♪ほうら足元を見てごらんこれがあなたの歩む道〜 

♪ほうら前を見てごらんあれがあなたの未来〜

♪未来に向かってゆっくりと歩いてゆこう〜

私の好きなキロロというグループの歌の一節です。

坂を上る時、心の応援歌になっています。

このような「コツ」を見つけたものの、夏の坂はやっぱり汗だくになるので、辛いものです(笑)。

 

季節によって、天気によって、はたまた心のあり様によって、その角度を変えているかのように映る坂。

これからも一歩ずつ踏みしめながら、上って下りて、ともに暮らしていこうと思います。

 

スタッフT